今月末で国内航空会社から完全退役してしまうB747-400を偲び、乗り納めしてきた

以前は、JAL、ANA2社共に主力機として数十機以上を抱え、日本の空を支えてきたB747。
しかしその後、同じ500名以上の輸送できるキャパシティーを備えながら、双発機による燃費向上を謳い登場したB777に主役を譲り、徐々に姿を消していくことに。特に再生法適用したJALは、会計上の問題もさることながら、コストが掛かるということで再生期間中に退役が進められ一足先に姿を消してしまい、残されたANAも退役を進めていたが、とうとうこの3月末で最後の2機が退役。姿を消すことになった。

と言うことで、今回はその乗り納めの搭乗録を。

■ 嫌い、好き両方の気持ちを持った飛行機

余談で恐縮だが、なぜわざわざ乗り納めなんてしようとしたかと言えば、それはこの飛行機が私にとって様々な思い出があるから。
この飛行機は私にとっては怖いとイメージを付けられた飛行機でもあり、私が飛行機好きになったきっかけでもある飛行機でもある。
私が、初めて飛行機に乗ったのはかれこれ20年近く前、学生の時の修学旅行で沖縄に行った時のこと。今でこそ修行と称して1日10搭乗することも厭わない私だが、実はそれまでは大の飛行機嫌いだった。理由は日航ジャンボ機の墜落事故の惨劇(JAL B747-100SR)。子供ながらにあれはインパクトがあったし、事故のあったあの日、あの時間帯、私も家族で東京から新潟に向け高速道路で移動していた。ラジオで騒がしく放送がなされ、また事故現地の天候は晴れだったはずだが、新潟に向かう何処かで通り雨な雷雨に遭遇。高速道路の見通しが悪く走行を断念、親が苦労しながらPAに寄って雨が止むのを待った記憶がある。(飛行機は視界悪くても計器飛行で飛べるけど、あの時はこの雨じゃなぁーなんて考えていた)

その翌日テレビに映された現場は散々たるもので飛行機とは怖いものだと植え付けられてしまった。(連日報道されてましたしね)
それからは遠出するにも鉄道を好む子になってしまったのですが、10年後ぐらいに冒頭触れた修学旅行で沖縄に行くことに。当然沖縄に行くのに飛行機使わないなんて選択はできる訳もなく、心中穏やかでない状態で搭乗したこと記憶が。しかし、この搭乗時に私の考えが大きく変わった。トイレに行くため席を立ち、トイレ待ちしていた時非常口の小さな小窓から景色を見たのだが、何時もならば上にあるはずの雲が下にある景色に凄く新鮮に感じ、また見たいと思った瞬間だった。それ以降の私は飛行機に感心を持ち、遠方に行く時は飛行機優先と飛行機大好きになり、それが今では社会人による財力のおかげでたくさん乗るヲタになってしまった。

そのキッカケとなった修学旅行で乗った飛行機こそANAのB747-100SR。那覇空港行き。
時期は違えど良いイメージと悪いイメージ両方植えつけてくれたB747-100SRは既に引退済みで厳密に言えば機種は違う。でも同じシリーズだし、ANAとしてのB747運航はこれで最後なので、当時の思い出を振り返りつつ、一つの節目として乗っておこうと言うことに。本当はエアアジアみたいに最終便搭乗が良かったけど、3/31の最終便のチケット争奪戦に負けてしまったため苦渋ながらこの日に。

■退役を偲び写真に収める人が多々

B747ネタはいくらでも話せる気がするが、さて話を本題に戻そう。
朝から多摩方面で開催されたイベントに行った後、羽田空港へ。14時30分頃に空港に到着して最初に出向いたのは、展望デッキ。もちろんB747の雄姿を写真に収めるためだけど、これから搭乗するのにあえて展望デッキに出向くのは理由があって、実は羽田空港2タミは1タミより後で開業したため搭乗する人と降機した人の導線が分離されている。その導線が仇になっていて搭乗者向けエリアから駐機している機材を写真に収めようとすると、窓のフレーム等が必ず映ってしまう(一部スポットは問題ない)。

そのため羽田空港で窓枠なしで機材の写真を収めようとすると搭乗ゲート後のボーディングブリッジ(但し構図は固定)、もしくは展望ブリッジぐらいになってしまう。(1タミの方が良いよ・・・)

ja8961_20140301
 ※展望デッキにて。

14時50分ごろ。
何処かのスポットからトーイングカーに引っ張られてきたB747が所定のスポットで駐機。これを見届けた後、優先レーンから搭乗者エリアへ。しばしラウンジで小休憩したのち搭乗ゲートへ。

15:30頃
出発25分前にゲートに到着すると、既にサポートが必要な方向けの搭乗開始を案内。
搭乗開始に近づくにつれ、やはり偲んで搭乗する客が多いのか。搭乗開始前にゲート前の写真を収める人が多かった。
nh137_spot57_b747_20140301
※57番搭乗口にて。

ja8961_20140301_hnd57
※ボーディングブリッジから見たB747-400

優先搭乗開始にあわせて改札を通過。人が少ないうちにボーディングブリッジからの機体撮影、そして搭乗後の自席から機内の写真撮影に。

■変わった座席が存在するB747

 B747には他の機材には無い座席ポイントが存在する。特徴である2階席(アッパーデッキ)はもちろんだが、このエリアの上部手荷物入れは1階席よりも若干小ぶりで、窓側席にはお土産品やバックが収納できる収納入れが存在。(逆に小型のキャリーバックを持参する人はこの席にはいかないほうが良い。) また、2階最前列71列目のA、K席は窓側とおもいきゃ実は窓から離れた席で、その後ろの72列A、K席以降が本当の窓側であり、かつ72列目だけ71列目まで足を伸ばせる快適シートだったり、86列AC席は先に乗ると後から乗ってくる客と否応無く目線があってしまうだけでなく、1階席の人がトイレ等に出向いた際に下から上を覗かれてしまうという、ある意味晒し者席だったり・・・。
1階席だと、最前方のプレミアムシートには”沖田艦長席”というまるで艦長ポジションに座っているような機にさせてくれる1人席もあるし、56列目みたいに窓側だけど席と窓の間に無駄に荷物が置けてしまうスペースが存在する席もあるなど、特色があったりする。
沖田艦長席以外は一通り乗ったことがあるのだが、オススメは気持ち広く感じる2階72列目と1階56列。今回は、72列目が抑えられてしまったため、56列に。

nh137_room_b747_20140301
※最後部からの機内。
nh137_room3_b747_20140301
※56列。微妙なスペースだけどこれがありがたい。

座席は、定期的に交換されているから普通ではあるけど、モニターなどは古いまま。デザインもさることながら、映し出される映像もクタクタ感が。

nh137_room2_b747_20140301
※ブラウン管モニター。未だB777とかでも健在ですが、それでもここまで古めかしいデザインはB747だけ。

15:55 定刻より1-2分早いぐらいでドアクローズ。プッシュバックしたのち05滑走路に向けタキシング。
   この時間故に離陸待ちなどなくスムーズに離陸。

飛行中は、気流がよろしくないせいか羽田離陸後からの上昇時、そして那覇空港着陸に向けた降下時に揺れが続いたものの順調に飛行。逆に順調すぎて予定より10分早着することに。少しでも長い時間搭乗していたい身としては10分短縮は残念だけど、本来目的地に早くお届けする点ではありがたいことなんですよね。複雑。

飛行中の機長アナウンスでは36000feetなど高度の案内がされると共に、23年間愛されてきたB747が2機ともに3月末で退役すること。乗員一同、残りを1回1回を大切していきたいというお話が。我々乗客もそうですが、ANAの社員にとっても皆さん何かしら経験しているほどの主力機の引退ですから名残惜しいですよね。その気持ちはよく判ります。

ja8961_20140301_oka33
※33番ゲート付近からの機体正面からの写真。

ja8961_20140301_oka33_2
※その後、神戸行き搭乗時にボーディングブリッジから撮影したB747。

空港到着後はボーディングブリッジでたくさん写真を撮られる方が。また折り返しの便に乗る方は搭乗ゲート付近から撮影をしている人が多々。みなさん今しか見られない雄姿を残しておきたいってことなんでしょうね。

B747へ。ありがとう。

最後に、twitterにでも呟いたフライトログを以下。
ANA137 (JA8961 B747-400D)
HND 15:55 Spot:57 R/W:05
OKA 18:28 Spot:33 R/W:18
最後のB747搭乗。上昇、降下時に小刻みな揺れが続く。予定より10分早着。