羽田空港アクセス新路線構想が多々発表されてるけど・・・・

東京オリンピック開催が決定してから、(オリンピック以降もニーズあるけど一先ず)来日するお客を輸送するためにも新路線建設の必要性が語られているこの頃。

ただオリンピックだからではなく。実は国交省の諮問機関「交通政策審議会」が定期的に「将来首都圏で整備すべき鉄道網の在り方」を検討しているのですが、その検討タイミングとちょうど被さったというのもあります。この検討で答申されたものは基本的にはそのまま路線開設に至ったケースは多く、メトロの副都心線、三田線・南北線の目黒乗り入れ、つくばエクスプレス、都営の日暮里舎人ライナー、成田空港アクセス線などが新規開設されていたりします。
で先月の審議会でお呼ばれされたJR、東京モノレールの方々は、この場は構想を披露しました。JRは新木場・新宿・東京から東京貨物ターミナル経由で羽田空港に繋がる新路線を。モノレールは、浜松町から東京駅まで延伸の話。そして、今月の審議会では東急、京成・京急も呼ばれてこちらは数年前から度々話が挙がっていた、東急・京急は蒲蒲線構想、京急・京成は都心直結線についてヒアリングを受けた模様。

さて、これらの路線なんですが、どれも建設には課題が多くて、JR東海のように自らリニア建設するぞ!みたいな自主的にやる意思はあまり無いように感じています。(まぁリニアもあんだけ投資しても意味無いのに・・・・)
ただ答申されて、何かしら都や国からお金いただけるのであればって思惑も強いんでしょうね。

さて、どの路線も課題が多いという点ですが、何処に課題があって、実際難易度はどんなものなんでしょうか?
ということで少々纏めて見ました。

■現在話が出ている新路線
 
1、蒲蒲線構想。
東急線蒲田駅-京急線蒲田駅を繋ぎ、あわよくば東急線を京急羽田空港に乗り入れさせることで東武東上線・西武池袋線・副都心線・東急東横線、東急多摩川線沿線の利用者がスムーズに行けるお話し。ただ課題は、レール幅が東急・京急で異なること。京急区間のみ三線軌条みたいな方法を活用するって方法もありますが、京急としては羽田空港線はドル箱路線で本数増やしているので、仮に繋げると本数減らす羽目にもなるし、品川から乗る客の流れが変わることもあって後ろ向きだと思います。仮に乗り入れせず東急線蒲田駅から京急線蒲田駅へ延伸としても、今度はユーザーメリットが無いので厳しいでしょうね。故にほとんど実現しないような気がしてなりません。

2、「都心直結線」
空の玄関口である成田・羽田。両空港間の乗り継ぎがし難い。時間がかかる等の理由から、この区間を結ぶ路線を新設してしまおうという構想。とは言っても全部新区間じゃ非現実的なので、羽田空港~泉岳寺までは京急。泉岳寺~東京~押上付近は新規路線開設。押上付近~成田空港は京成・北総・成田スカイアクセスと分担。特に都心区間を基本的に駅を設けない新規路線を新設することで移動時間を大幅に短縮するお話。この課題は、都心区間のトンネル工事に掛かる費用、それと両区間を利用するユーザー数とか。リムジンバスが矢継ぎ早に走っているあの区間で、あれ以上に早くかつ料金安めとしないと結構厳しい感じもします。
  
3、モノレール東京延伸構想
 浜松町が終点の東京モノレールを山手線・京浜東北線の上に走らせる形で東京駅まで延伸させてしまおうというお話。
上野東京ラインが新幹線の上に線路を作ったこともあり、やれない話では無かったりします。ある種イチバンしっくり来るお話に見えますがこれも課題が多くて、一つは浜松町の再開発工事の見直しが伴うこと。実はモノレール駅がある貿易センタービルは再開発が発表されていますが引き続き駅もここに収容されます。特にこの再開発発表時にホームが2つになるなどの話は触れられていないため現行どおり2面1線になると思われますが、もし東京延伸となればここを2面2線ないし1面2線に変更させる必要があります。その上、あの位置から文化放送等を掠めて・・・となるので、いろいろと地域住民との調整も必要です。一方モノレール浜松町駅の線路挟んだ反対はスペースがあるもののこちらは道路や別の用途に使われる模様。結局一筋縄にはいきません。その上、新橋駅は現在駅舎改修して最近流行のホーム全体を屋根で覆うドームタイプにしているため駅を造ることは厳しく、東京駅もいざホームを作るには山手線・京浜東北線のホームに大きな柱、階段・エスカレーター等乗降設備を作る必要がありスペースが占有されることで、ホーム混雑等が生じることから何かしら対策を取る羽目になりますから簡単には行きません。

4、空港と東京、新宿、新木場の3つの駅を結ぶ3路線構想
羽田空港から東京貨物ターミナルまでを新規にトンネルを掘り新設。貨物ターミナルからはりんかい線利用して新木場。新幹線車庫~田町までを現在休止中の貨物線を活用し、東海道線(上野東京ラインで高崎東北常磐へ)と接続。貨物ターミナル付近から新規建設もしくは、りんかい線を一部改修の上活用して大崎まで結び埼京線へ。それぞれ接続させる構想。

こちらは実現できたら埼玉方面・常磐方面の人は便利になるため実現を願う方が多くなりそうだけど、課題は、建設時の課題が複数あり、それぞれ期間とコストが発生すること
まず構想ではオリンピック開催に間に合わすために新木場方面を先に開業って話だが、そもそもオリンピックに間に合わすと言っていたのは貨物ターミナルから羽田空港の貨物ターミナル付近(JALの西・東貨物地区)までの話。羽田の貨物ターミナルから羽田空港まではそこそこ距離があるので、いざ開業しても使い勝手が悪い。(今で言えば成田空港と東成田の位置関係みたいなもの)、その後羽田空港の真上。さらには国際線ターミナルまで繋ぐ話らしいが、こちらの開業時期は既にモノレール、京急の線路があるため慎重に工事が必要でさらにオリンピック以降に遅れる見込み。またりんかい線区間の料金問題等も発生する。(京葉線乗り入れは、りんかい線買収しないかぎり厳しいだろうけど巨額負債があるからな・・・。出来ても新木場乗換えか)

新宿方面へ繋ぐ上でもりんかい線東京テレポート~天王洲アイル間にある信号所を大きく改修する必要があるし、もしくは車庫がありトンネル出口を作れそうな大崎付近まで新規路線用のトンネル掘ってしまうのかもしれないが、これまた工期が・・・。東京方面にいたっては田町付近で東海道新幹線を跨ぐ必要があり、さらに跨いだ後に東海道線に繋ぐための線路敷設スペースもほぼ無い状態。(微妙に再開発予定地を外しているし、ターミナルを新幹線側に寄せすぎているので・・・・)

結局これも一筋縄にはいかない。

■結局落としどころは?
あくまで私見だけど、オリンピック開催という点では特に路線建設はなく、浜松町駅を改良するぐらい。具体的にはモノレールとJRを繋ぐ導線の見直し、大江戸線とモノレールを繋ぐ導線作るぐらい。どんどん人口が減る中で路線開設のリスクは付きまとうし、来年には首都高中央環状線開通でリムジンバスでの渋谷新宿池袋への所要時間も短縮されるはずなので、正直そのままで終了のような気もしてならない。もしも、将来的には何か新路線が出来るとしたならば、モノレールを新橋か東京まで延伸させて千葉方面からの乗り継ぎをスムーズにさせる。もしくは京急等もあるので新宿方面は撤回した上で、りんかい線活用し新木場方面とどうにか田町エリアを改修させて東京方面が結ばれる路線が出来るのどちらかかな?って気がしてしまう。

さぁ、どうなるのか楽しみですね
————————————————————–
羽田空港アクセス新路線 意見聞く会合
9月5日 17時36分

羽田空港へのアクセス改善に向けて検討が進められている新しい鉄道路線などについて、国土交通省が私鉄などから意見を聞く会合が開かれ、鉄道会社からは新路線の必要性を主張する意見や今後採算性を見ながら検討を進めたいなどといった意見が出されました。

国土交通省で5日に開かれた今後の都市鉄道の在り方を検討する小委員会には、鉄道や都市計画などに詳しい有識者のほか、京成電鉄や京浜急行、東急、それに東京都交通局の担当者らが出席しました。
この中で、羽田空港へのアクセス改善に向けて検討が進められている、▽京浜急行の「京急蒲田駅」と東急の「蒲田駅」を結ぶ、通称「蒲蒲線」や、▽東京・丸の内の地下を通って京浜急行と京成電鉄をつないで羽田と成田を結び都心と成田空港や羽田空港の間の移動時間を大幅に短縮する「都心直結線」について、各社から意見を聞きました。
鉄道会社からは「外国人旅行者が増加するなかで新路線は必要だ」という意見や、「今後、事業の採算性を見ながら検討を進めていきたい」といった意見が出されたということです。
国土交通省の小委員会は、こうした意見を踏まえて、早ければ今年度中にも具体的な報告をまとめることにしています。

■検討されている新路線計画は
国土交通大臣の諮問機関「交通政策審議会」では、将来首都圏で整備すべき鉄道網の在り方を14年ぶりに議論しています。
5日に開かれた小委員会で、国土交通省が羽田空港と成田空港へのアクセス改善に向けて鉄道会社にヒアリングしたのは、2つの計画についてです。1つは、京浜急行の「京急蒲田駅」と東急の「蒲田駅」を結ぶ、通称「蒲蒲線」を新たに整備する計画です。
2つの駅はおよそ800メートル離れているため、多くの利用者は10分ほど歩いて移動していることから、この間を鉄道で結んで利便性を高めるねらいがあります。もう1つが、都心と成田空港や羽田空港の間の移動時間を大幅に短縮する「都心直結線」の整備計画です。
京浜急行と京成電鉄をつないで羽田と成田を結ぶため、押上駅付近から東京・丸の内の地下を通って泉岳寺駅付近までのおよそ11キロを新たに整備することが検討されています。さらに、羽田空港へのアクセス改善を巡っては、これまでにJR東日本が、羽田空港と東京都心を結ぶ新しい鉄道路線として、空港と東京、新宿、新木場の3つの駅を結ぶ3路線で開業を目指すことを明らかにしています。
また、東京モノレールも、現在羽田空港と浜松町との間を結んでいる路線をJR東京駅まで延伸することを検討しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140905/k10014377571000.html
————————————————–