スクールアイドルミュージカル(2024)にドハマりしてしまった件(感想)

スクールアイドルミュージカル。ラブライブシリーズの一作品でありながら、従来のアニメコンテンツ形式ではなく、ミュージカル形式にしてしまった作品。最近、アニメや漫画コンテンツを舞台化するものはあるが、こちらはこのミュージカルのために書き下ろした物語。アイドル(キャラクター)こそ作られたものの小説も無ければゲームもない。あるのはミュージカル(とその中で使われる楽曲)のみ。なかなか思い切った展開である。

正直、アイドルマスターに長らくハマっていた私にとって、ラブライブは追っていなかったのだが2023年12月開催されたアイマス×ラブライブの夢の競演である「異次元フェス」で、久しぶりにラブライブ楽曲に触れることになり、この中でスクールアイドルミュージカルの存在を知り、ミュージカル形式での展開ということにえらく驚いたのだが、残念ながらそれ以上の関心は沸かずで記憶から薄れつつあったのだが、1月16日に何気なく「X(Twitter)」のタイムラインに、スクールアイドルミュージカルのツイートが流れてきて「そういえば異次元フェスに出演されていたな・・。今公演中で、今日(1/16)も公演するのか・・。今日、仕事少し余裕あるし定時に上がれば間に合うな。よし物の試しに見に行ってみるか・・」なんて頭の中で急遽見に行くことを決めて、実際仕事を切り上げ開演時間ギリギリ滑り込んだのだが、正直、どんなストーリーかも知らないまま、その日に行くと決めてミュージカルを見る。我ながらなかなか思い切ったことしたなと思う。(振り返ると、この判断は実に正解だった)

ストーリーは、大阪にある芸能コースのある学校(滝桜)に所属し近々にプロデビューすると噂されている子(アンズ)と、神戸にある勉学重視のお嬢様学校(椿咲花)に所属する子(ルリカ)が出会い共にスクールアイドルを目指す物語。ルリカは、学年1位をキープする勤勉な子だったが、ふとしたきっかけでアイドル(アンズ)に関心を持つようになり、どんどんアイドルへの熱を上げていってしまい勉強が疎かに。定期テストでは順位を落とし同級生達から心配されてしまう。最初こそ理由は隠していたが最終的にはアイドル(特にアンズ)に興味があることを告白。同級生同士でアンズの公演等を見に行き、自分たちと同じ歳なのに違う世界を進む姿に驚きと憧れを抱き始める。一方のアンズはプロデビューに向けて練習に励むものの以前ほど歌うことへの楽しさがなくなってしまい悩み始めてしまい、仕舞いにはアイドルをやめると決心。滝桜を辞めてルリカのいる神戸の学校へ転校してしまう。

アンズが転校してきたことなど知らないルリカたちは、自分の学校で偶然アンズは出会い驚きつつも、ルリカはアンズに歌を教えてもらおうと依頼するが最初こそ断られてしまうのだが、諸般の事情で理事長からアイドル部部長に任命されることになり、その後のやりとりもあり、ルリカたちに歌のレッスンするようになり、いつしかこのチームとしての曲まで作っていく・・。この過程でアンズは、かつての歌を歌う楽しさを思い出し、一方ルリカはあこがれていたアンズと一緒に歌ったりするその時が凄く楽しい時となり、それぞれにとってそれぞれがとても大事な存在となっていくのだが、これがずっと続くとはならず、親の急病からアンズは再び元の学校に転校することに。突然の別れに悲しさを感じながらもルリカたちは(いろいろあって)アンズの学校(滝桜)で催される文化祭でアンズたちが歌う前の前座で作った歌を披露することになり、4人で文化祭当日実際に披露するのだが、ルリカはどうしてもアンズと同じ気持ちで歌いたい・・と考え、4人で歌うフォーメーション等にはせず、アンズがいないのにあえてアンズがいるかのように、アンズの歌うパート・歌う時のポジションをあえて残す(5人フォーメーション)で前座に臨むことを決断。特にデビューを目指している訳ではなく「ただ一緒に歌いたかった」という純粋な気持ちを持つ彼女たちならでは行動に出てしまう。前座を見たアンズは驚くとともに、そこまでしてまで一緒に歌いたかったというルリカたち想いを受け止め、自分のチームを抜けてでもその歌唱に途中から入って一緒に歌うことに・・・。

このアンズの行動により、その後の滝桜のプロデビュー発表はご破算に(語られていないが滝桜パートは4人で歌ったのだろうか・・・)。でも滝桜メンバーはアンズとルリカたちのパフォーマンスを見て喜んでいたのでした・・・。

その後は、1年後の世界に。実は滝桜と椿花咲は合併。新設校となった「椿滝桜」の文化祭で椿花咲メンバーと滝桜メンバーは一緒にライブをするのでした・・・。

「大事な約束より大事な事を探して・・・」という作品のキーワードを体現するかのような流れで、その後はハッピーエンドな展開に。

これを観きったときに凄く温かい気持ちになれたし、「また観たい」という衝動に駆られた。作品中の曲を通じて各々の子の気持ちが感じ取れるし、実際演じているキャストさんの熱意も素晴らしく、終始作品に引き込まれ、すっかりこの作品の虜に。

残念ながら気が付いて行った時(1/16)には、本編公演数は残り3回。この後、時間を作り1/19の本編千秋楽を見に行きつつ、今回から追加された後夜祭(本編で描かれた1年後に開催された文化祭でのステージ終了直後のお話し)を2度ほど観賞。ほんの数日前にふとしたきっかけで見に行ったらすっかりハマってしまった訳である。

■スクールアイドルミュージカルの魅力

ラブライブ的には王道的なストーリー(起承転結的な流れ)なのかもしれないが、夢を諦めない的な行動(ルリカがアンズがいなくなってもやり続けようとする)が良いと思ったし、あとは悩んでいたアンズがルリカと出会い大事なことを再認識するとともに、両者が大事な存在になっていく過程が見られるところなども良い。ただそれ以上ミュージカル形式であることがこの作品をよいポイントで、ミュージカル楽曲は普通の曲とは違って作品の流れを汲んだ曲となり歌にこめられた想い等がストレートに伝わってくるので、より物語に入り込みやすい。また、生身のキャストが演技のぶつかり合い作り上げていくし、なんなら毎回キャストがクオリティのアップデートしちゃうので、アニメのようなまったく同じとはならない部分もある。複数回見ることで、その都度その前では気が付いてなかったことに気が付くこともあり、それを発見することで、アイドルさらには作品の世界感がより広がる奥深さがある。これは是非一度見てもらいたいと思うコンテンツである。

■登場人物(アイドルたち)の魅力

今回の作品に登場する人物(アイドルたち)も実に魅力的だ。ヒロインであるルリカ、アンズはもちろんだが、ルリカが通う椿花咲とアンズが通う滝桜には、それぞれ4名の同級生や後輩がいるし、それぞれの学校の理事長(ルリカとアンズの母親)もいる。まず、同級生・後輩で見ると個人的には、椿花咲側ではユズハ。滝桜側ではミスズの存在が大きい。ユズハはルリカの幼馴染であり親友で、常に一緒にいるような関係でルリカの行動もなんやかんや賛成してくれるのだが、アンズ登場でそのポジションが取られてしまう(アンズが何かしたわけでなく、ルリカがアンズへの関心を強めてしまったが故の結果)ことで嫉妬等を抱くなど心情の変化が見られる。改めてこの点にフォーカスしてミュージカルを見てみたいと思ったほど。。一方、ミスズはアンズと同級生で部長をしているが、いつかは自分がセンターになりたいという気持ちがあふれているが、ミスズは学費免除等を受けていることもあり、それを強く言い出しにくく、せっかく意を決して理事長に打ち明けても「大人なんだから・・・」と言われ気持ちを抑え込んでしまうなど、不憫に思ってしまうものの、そんな複雑な心境まなかでも頑張ろうとしている姿は、頑張って欲しいと思ってしまう。正直、どちらもルリカとアンズが出会わなければ、それぞれはルリカとアンズの隣にいて時より主役ポジション的な場面も得られた子だが、ストーリー上はルリカとアンズは出会い、二人のそれぞれの良さが補完しあう相乗効果でそれぞれが無くてはならない存在という最強なペアになった感もあり、ミスズやユズハは完全にサポートポジションになってしまった感もある。それによってミスズ、ユズハの変化も見逃せないポイントかな・・・と思う。

また理事長二人の存在も凄い。これはキャラクターよりもキャストの力によるものが大きいと思っているが、ルリカの母親で椿花咲の理事長であるマドカ役の蒼乃さんは元宝塚の娘役トップな方で、実力はもちろんのこと椿花咲の伝統を重んじる・・をまさに地で経験してきたお方。一方、アンズの母親で滝桜の理事長であるキョウカ役の岡村さんも多数の舞台やミュージカルを経験された実力者。このお二人の演技はまさに目をくぎ付けになるし、そのおかげもあり理事長を応援したくなる気持ちまで溢れてしまうほど。こちらも見逃せないポイントである

■文化祭&後夜祭スペシャル公演

スクールアイドルミュージカルは、2022年12月、2023年8月と公演を重ね、今回で3度目の公演となるが、今までは本編しかやって来なかったが、今回は1/20、1/21に限り、その続編となる後夜祭スペシャル公演が開催された。最初の約40分間は本編(文化祭ライブパート含む)をダィジェストにして演じたのち、続編として文化祭でのライブが終わった直後の話がスタートする。

滝桜の文化祭での騒動から、今回の文化祭まで1年という時が過ぎて、一緒のライブが実現したことをメンバーみんな喜んでいたものの、実はこの1年の間にたくさんの新曲を拵えていて、時間の関係で発表できなかったことが残念とルリカとアンズはつぶやくのですが、「ならこのまま続けたら?」と理事長から提案があり、ルリカとアンズはすぐさまやろうと決断し、ルリカは(我々観客は文化祭ステージを見に来た人でもあるので)観客に「まだ帰らないで」と言いにステージへ。アンズはメンバーを呼びに楽屋へ。最終的にステージに全員揃ったところで、理事長から一番拍手が多い楽曲をCD化すると宣言し、各メンバーは歌を披露すべく準備する・・・

という流れから12曲の新曲が披露されていく。新曲のセトリは公式さんが公開されているので後で見ていただければと思うが、どの曲も本編でのアイドルたちの心情等が強く反映されたものばかりで本編を見ている人ならどの曲も良いと思ってしまうものばかりに。

新曲の中でインパクトが強いのは、「パフェパフェ行進曲」 と 「あなたに夢ちゅう」 で一度聞くと耳に残る楽曲。「So My Way」、「夢見ガチガール」はかっこいい&ダンスナンバー。特に夢見ガチガールはかなりかっこよいし、キャストさんの動きも素晴らしい。「主役になれない主役」は、さっき語ったユズハ・ミスズによるデュエット曲で、この曲ばかりは二人だけにスポットライトが当たるので、彼女たちの本編上での動きを思い出しながら歌詞を聴くと深さを感じてしまう。そして、「私の星座」はミスズさんのソロ楽曲。挑戦したいという想いにソロで歌うという形にしてくれたことだけで個人的にはウルウル。「意識しあうとか惹かれ逢うとか」は、ルリカ・アンズの曲。それぞれが無くてはならない存在であることを感じさせる曲であり、ストーリー上アンズとルリカは練習のために親にパート練習に付き合わせていたという設定もあり、後半パートでは理事長が歌い最後は4人で歌い上げるという豪華な楽曲に。「この先もずっと」は、椿メンバー5人で歌い、近づく別れと離れてもずっと関係は変わらないことを謳う切ない楽曲。これは涙がウルウルしてしまいます。「今すぐはじめよ」「応援してね」「夢はドコカラ」こちらも良い曲でした。

ちなみに全曲披露後に、理事長から「全曲アルバムで出してあげる」と宣言され、リアルにそのアルバムが8月販売と発表。物語とリアルをうまくリンクさせたのち終演。あっと言う間の1.5時間でした。

■今後・・・

ミュージカルと言えば、完結した本編を定期的に公演し、やり続けていくロングラン公演のイメージが強いですが、今回は続編に触れてきたことで、ラブライブを含む他コンテンツ同様に現代的な発展をしてきたのが嬉しい動きですね。その一方でミュージカル的には新しい取り組みのようにも感じられ、今後どうなっていくのが楽しみでもあります。

残念ながら時間軸的には、時を進めていくスタイルは難しいので時を止めつつ話題を増やしていくのでしょうが、とは言えベースはミュージカル。ミュージカルとして成立するエピソードを創り出せるのか?このあたりが気になるところです。

長々な駄文ですが、今後もスクールアイドルミュージカルに期待です。