新型レヴォーグを先行受付開始初日に予約してみた

2020年8月20日からスバルは新型レヴォーグの先行受注申込を開始した。今回はその申込を行った話と今回の新機能について語ってみたいと思う

2014年にレガシィーの後継として登場した初代レヴォーグは、スバルのフラグシップモデル故に6年の間に様々な機能が搭載されてきた。アイサイトVer3、スバルリアビークルディテクション(後方側面の警戒支援)、ツーリングアシスト(同一走行車線での自動追随)、クルーズコントロール135km/h対応など主に安全支援機能がもっとも早く搭載されてきたが、この6年の間にスバルの他車種はプラットフォームをSGPに刷新。気が付けばこのレヴォーグとWRX、S4が未だ旧プラットフォームで時期的にもそろそろフルモデルチェンジが求められていた。

新型(2代目)レヴォーグは昨年の東京モーターショーで初お披露目。その後はネット情報等で情報が漏れだしていたが、8月20日に正式に一般向けに情報公開されてかつ先行受注を開始。早速この初日に、GT-EXを注文した。

普通ならばこのタイミングから検討を開始して、早くても数日後に申込になるのに、公開した初日にいきなり注文とは、単なる盲目的信者か?と思う人もいるかもしれない。しかし私に限らずディーラー担当とコミュニケーションを取っていた方であれば、5月ぐらいから営業向けに商品情報が展開されていたので、営業さんと一緒に見るという条件にはなるがこの段階から新型レヴォーグがどんなスペックで、何を改良したのかなどおおよその確定情報は入手できていたし、7月中旬ごろにはグレードとグレード別メーカーオプションの装着可否、色、燃費そして価格が記載されたプライスリストが貰えたので、この間にどのグレードを選ぶか、なんなら値引き等考慮した総額がどの程度か?などイメージができたのでこの初日に、価格商談して納得いけば即注文も可能だったのである。(まぁ値引きがしょぼかったら、考えましたけどもね) と言うことで、単に早く情報を入手できておかげでじっくり検討した上で購注文したということでした

■新型レヴォーグのポイント

今回の新型は、ほぼすべてが刷新されている。エンジン、CVT、ボディ(プラットフォーム)、内装、そしてアイサイト等の安全支援システムなど。

①エンジンについて。初代の1.6Lエンジンの後継として1.8Lリーンバーン対応ターボエンジンが新搭載された。このエンジンは馬力こそ177馬力と初代1.6Lより7馬力しか増えていないが、トルクは50Nもアップした。初代の1.6Lは停止時からの加速させる際、ターボが効き始めるのが1800回転以上のため、最初加速鈍く、2000回転近くで急に力増すという特性だった。これが都市部走行時には使い勝手が悪い。踏み込み量少なめ(1500回転程度)だと、信号が青に変わり複数車線のクルマと同時に走行開始した時に他のクルマの方が先に行ってしまうことがあるほど、では最初から踏み込み量を増やす(2000回転まで上げよう)と、今度はスバル車ではお馴染みのCVT回転数が先走るような挙動が出る(であまり力でない)。後者が改善されるかは判らないが、少なくとも新型はターボが効き始めるのが1600回転となるので、都市部でもスムーズな走り出しができそうである

②ボディ(プラットフォーム)について。これは現行のインプレッサ以降に採用されたSGPに変わることで剛性がマシてより走りがよくなる。以前インプレッサを試乗した時に違いを感じたのでその効果を期待しているし、今回はフルインナーフレーム構造という組み立て方を変えたことで溶接ポイントが従来より増えてより剛性が増したようなので、さらに走りが良くなったというのが挙げられる。

③内装・装備について。正直ドアや助手席周辺のデザインは、SGP搭載車のインプレッサ、XV、フォレスターとどこか似ている部分がある(写真左が新型レヴォーグ、右側はインプレッサ)

新型レヴォーグとインプレッサの内装比較

しかし、今回のレヴォーグでは、EXグレードにはなるが、センターに大型ディスプレイを搭載、さらにメーターも液晶化。ベンツやアウディにもあるメーター画面でナビ表示が可能になるし、シート形状も前席は全グレード共通でスポーツシートになったし後席も座面サイズを増やし座りやすくなった。また後席にエアコン吹き出し口(後席ベンチレーション)も搭載。と快適性が増した。また、リアゲートはGT-Hグレード以上でハンズフリーオープンパワーゲートが搭載。(オープンパワーゲート自体はフォレスター、アウトバックで搭載されているが、ハンズフリーになった点はレヴォーグが初となる)。あと個人的におススメしたいのがホーンの変更。従来のしょぼいホーンではなくディーラーオプションであったスバルホーンが標準搭載に。この音はなかなか良いのでこれが標準化したことは素直に喜びたい。あとはEXグレードに標準搭載されるナビ機能。あの大型液晶=統合コックピットシステムは、デンソーとBlackBerryが共同開発したもの(最初の搭載は米国向け新型アウトバック)なので、デンソーの子会社であるイクリプス(ECLIPSE)が関与してくれることを祈るばかりではあるが、正直今までディーラーオプションでカロッツエリア、ダイヤトーンなどを選択していた方はSDカードスロットもCDスロットも無くなり、あるのはUSB端子とAUX端子のみなのでちょっと不満が出る可能性がある。あと地図の更新は年2回予定しているが1回あたり1万円程度かかるとのこと。最近は3年までは更新無料が多かったので悩ましいところである。しかし悪いことだけでなく良いところも挙げるなら、このナビにはバックカメラも標準化しているので、余計な費用がかからない。またあの大型液晶でフロントビュー・サイドビューカメラの映像を表示できる。従来の車種ではセンターディスプレイで小さくしか表示できなかった点を考えれば、より使い勝手が良くなったと言える

④アイサイトの進化について。これが一番デカいのだが、今回はアイサイト自体が進化するとともにEXグレードにはアイサイトXというより先進機能が搭載と二段構えになっている。新アイサイトでは、広角化したカメラへ刷新、また前後に4つのレーダーセンターを搭載し、交差点での対向車衝突防止や右左折時の歩行者巻き込み事故回避にも対応と大きく進化している。またツーリングアシストについては広角化等によってアシスト領域が改善されたと思われる。余談だが、ツーリングアシストが最初に搭載された初代D型レヴォーグ乗りとしては、首都高などでツーリングアシストはあまり使える機会が少なかった。合流時の割り込みなどでは前車の割り込み方次第ではカメラは捉えられず加速しそうになってしまうし、高速のゆるやかなカーブは問題ないが、急カーブとか、ほんのちょっとハンドルを切る程度のカーブとは言えないほどのカーブでもアシスト解除されていたのだが、これが改善されることが予想される。そしてEXグレードで追加されるアイサイトXでは、高速・首都高等で前方車があり50km/h以下であればハンズフリー走行が可能になる。正直これの取り上げが凄いが個人的には、車線変更してくれるレーンチェンジアシストやカーブ前減速、料金所減速機能の3つが凄く良い改善で、それはツーリングアシストがより実用的になるから。例えば初代D型レヴォーグのツーリングアシストでは、先ほどカーブ走行はアシストがよく止まると書いたが、これ実は走行している速度によっては問題なくアシストしてくれることがあった。自ら違反申告するようなものだが、50km/h制限のある区間を走行している時に50km/hで走っていたらアシストされるのだが、これを60km/hとかで通過しようとしたら解除されてしまう。当然法定速度で走るべきなんだけど首都高とかでは法定厳守はなかなか難しい。故に10km/h程度はオーバーして走るはざら。故にそのカーブに差し掛かったらアシスト解除されてしまいカーブ曲がり終えたら再びセットするという作業が必要になるのだが、新型レヴォーグのカーブ前減速機能があればセットした車速がどうであれ、そのカーブが安全に通過できる速度まで減速してくれ、通過したら設定速度まで戻してくれる。故にこの3機能はツーリングアシストの領域が広がる大事な機能なので、ナビを犠牲にしてでもEXグレードを選ぶべきと思う

■おススメなグレードはどれ?

新型レヴォーグのグレードだが、あまりグレード別の装備に違いがあまりないのが特徴である。例えばエンジンはGT、GT-H、STIの3グレードどれも同じである。前述したシート形状も素材の違いはあるが形状はみんなスポーツシートに統一されている。エアコンの後席ベンチレーションも全グレード対応。AVHなども全グレード装備。そして各グレードにEXを付けた場合に付くアイサイトやナビの機能差分も基本変わらない。

では、どこが違うのか?だが、大きな違いは①STIグレードのみ電子制御ダンパーが搭載され走りの質感を変えられる機能があること。②GT-H、STIグレードになるとリアパワーゲートや助手席・後席向けの内装備が充実する(家族利用におススメ) ③デジタルリアビューミラーはEXグレードにしかつけらけれない。ぐらいでしょうか。

①電子制御ダンパーはSTI専用です。これが欲しい人はSTI以外選択肢がありません。なお注意点は車高を変えたい人。これ交換等できないそうです。(8/22のスバルやジャーナリストさんの配信でプロダクトマネージャーが質問に対して回答) ②については、リアにヒートシーターが搭載されること。助手席がパワーシート化。運転席のパワーシートが乱場サポート対応になると共に着座位置等を記録できるメモリーセット機能の搭載。そしてリアのパワーゲートが装備。あとはアンビエント照明、ペダルのアルミパーツ装着、リバース時のドアミラーの自動位置変更等が実装されます。複数人で同じ車を共有して使う人や助手席や後部座席に人を乗せる機会が多くかつ寒い地域に住む方などにおススメ。

私個人は、リアのパワーゲートこそ欲しいと思ったものの、基本私自身が運転ですし、決まった人しか乗せないしかつ冬場極寒の地に出向く頻度は皆無(故に助手席パワーシートやらリアシートヒーターは不要だった)、またアンビエント照明が思ったほど光が弱そうだったので、逆に割り切ってGT-EXにしてしまいました。(D型レヴォーグでも17インチタイヤなので、18インチにする必要も感じでいないあたりも影響している)

と私の話はさておき、一般的な使い方でのおススメグレードはGTだと思っています。確かに電子制御ダンパー搭載のSTIグレードが一番良いと思います。しかしその分お値段は増してGH-HとSTIのグレード価格差は40万程度(GTとの比較だと、なんと63万円差)あり、一方その制御ダンパーをコロコロ変える頻度は最初こそ多いけどいずれはモード固定化されることを考えると、悩ましい価格ともいえます。一方GT-Hは、高級車に搭載される機能の大半が装備され、GTとの価格は22万程度。家族みんなで使うならアリな気がします。しかし、ハンズフリーリアパワーゲートは手を使わないで開けられるのは便利な一方で、両手が使えない状態の頻度ってどの程度なのか?と考えると悩ましく、リアシートヒーターも今回後席ベンチレーション(後席吹き出し口)もついたことで冷房・暖房が直接あたるようになり寒々な頻度は減ったほか、それ以外の機能もあっても良いが無くても困らない機能が多いというのが悩ましいです。

もちろん後から付けられないから付けておくという”大は小を兼ねる”の考え方はありだと思いますが、コンパクトカー等にありがちな安全面や快適性装備のグレード別の機能差が結構あって・・が今回少ないが故に、ベースグレードであるGTにEXさえつけていれば十分事足りると感じられます。

■納期は?

先行受注が早速開始しましたが、正式な発表は10月15日で製造開始は11月と言われています。当初は全国のディーラーが展示車として調達するので数百台程度は既に発注済み。そのあとからお客様のオーダー分の生産となるようです。そのため受付初日の段階で契約書を取り交わしていますがこの段階で納期は12月見込みと言われています。もちろん仮の日程ですが、実はスバルは現在燃費基準をWTLCモードに変える&年次改良タイミングと被っていて、大半のモデルで受注受付停止等しています。フォレスターは2.5Lエンジンは終了し今回の新型レヴォーグに搭載される1.8Lエンジン搭載モデルが追加され、インプレッサはSTIモデルの追加ほかいろいろモデルチェンジが9月10月と立て込んでおり、それにあわせて受注も増えるのでちょうど11月以降は生産がパンパンになっている可能性があります。また新型レヴォーグの注文状況は悪くない動きになっているようで初日に私も注文しましたが、担当営業さん曰く私以外にももう注文を受けたと言っておりましたので、初日だけでも各店舗最低でも数台以上は獲得できている可能性が高いです(全国で数百台規模)。実際にはこの週末以降時間が経つごとに獲得も増えていくでしょうから10月の正式発表時点では、3-4か月以上のバックオーダーを抱えていることも不思議ではないと思われます(トヨタのハリアーが正式発表時点で6か月待ちになるぐらい、実は世間の消費の冷え込みと逆行した動きが多いので、おそらくレヴォーグもそのぐらいは行くのでは?と見ています)

■最後に

今回の新型レヴォーグ、特に新アイサイト&アイサイトXのセットはベンツ等の安全支援システムと比較しても十分イケる性能になった思います。安全支援システムは保険と同じで充実品を買っておいて損はないと思いますので、これからクルマ買い替えを検討している方は候補に入れても良いと思います。