まだ懲りていない? ANA プレミアムパスを再び販売へ

4月にANAプレミアムパス購入者が傍若無人な対応をしてマイレージの会員剥奪
され、その一件がゴシップ誌に取り上げられたことを書いた。
ANA 機上生活者と珍妙トラブル
企画したANAもしっかり手を打っていなかった点も問題だし、お客さん側もお得意様意識を
丸出しにして、やりたい放題やってしまったという両者に問題ありと言えるものであったが
正直この一件でANAはこの手の企画はもうしないと思っていたのだが、ここにきて再び
ANAが300名限定でプレミアムパスの販売を告知した。
プレミアムパス300 の告知ページ
サービスの詳細をまとめると以下の通り。
 ■ 価格やマイル積算など
  ・ 価格は300万円。募集人数は300名。
  ・ 有効期限は2009年9月からの1年間で、年間の搭乗可能上限回数は300回まで。
    (有効期限前に300回到達したら、期限があっても利用不可)
  ・ マイルの積算は、搭乗回数に関わらず一律20万マイルのみ
    (搭乗ごとのマイルは付与されない)
  ・ 上級会員など次年度のステータス判定するためのプレミアムポイントは、搭乗毎に付与
 
 ■ チケットの予約、空港での提供サービスについて
  ・ 予約について、同一搭乗日かつ同一区間のご予約は1つに限定。
   (単純な1往復は可能だが、同じ路線をひたすら往復する俗に言うピストン修行はNG)
  ・ 経由便など複数便を乗り継いで目的地に向かう場合、乗り継ぎお手続き・手荷物の
    預かりは最大3区間まで、かつ1予約番号であること。
    (複数の予約番号に跨った乗り継ぎは不可 = 修業的な搭乗方法もNG )
  ・ 手荷物は最大35キロまで優遇
 ・ プレミアムパスユーザー専用のネームダグ・パスケースがもらえる
 とざっくり纏めてみましたが、修行層対策がしっかりなされています。
 そして、注意書きを見てみると・・・・・・。
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  ▼お願い
  「プレミアムパス300」でのご予約は、変更・取り消しのお申し出が
  なければ、搭乗日まで自動キャンセルはされません。このため
  不要となった予約をそのまま放置されますと、座席の有効利用に
  支障をきたすことがございます。お使いにならない予約は必ず
  お取り消しいただきますよう、皆様のご協力をお願い申し上げます。
  出発前までに予約を取り消しされなかった場合、当該便に搭乗され
  たものとして、搭乗回数に含みます。
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  ▼ご注意
「プレミアムパス300」でご予約・ご搭乗いただけるのは、「プレミアムパス」
   に記載されたパスの名義人1名様のみです。同一搭乗日・同一区間の
   ご予約は1つに限らせていただきます(日帰り往復の旅程は可能です)。
   例) 9/1 羽田⇒伊丹NH19便+9/1 羽田⇒伊丹NH21便・・×
       9/1 羽田⇒伊丹NH19便+9/1 伊丹⇒羽田NH36便・・○
   このほか、旅程上成立し得ない複数の予約などはご遠慮ください。
   他のお客様も含めた座席の有効利用、「プレミアムパス300」の円滑な
   ご利用のために、何卒ご理解とご協力をお願い申し上げます。
   また、このような場合には、弊社より予約の一部取り消しをお願いする
   場合がございます。あわせてご了承ください。
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 まさに、傍若無人な対応をし会員剥奪されたユーザー対策もしっかりされています。
 これで、変なお客さんも排除できて、搭乗回数制限でANAが採算割れすることも回避。
 しかも、300名から300万円を先に回収するので、いっきに9億円も売り上げが経つ
 分けで、収支面も含めて万々歳な状態になったわけです。
 これだけ企業側がハッピーな状況と言うことは、言い換えればユーザーから見れば
 昔と比べて明らかに改悪に。
 厳密に損得の計算は別の方に譲るとしても、搭乗回数だけで見れば羽田~大阪線
 のプレミアムシートの正規運賃は2.75万円なので、ざっくり100回以上乗れる人なら
 元は取れると思いますが、今まで得られていたマイルが一律付与になったことで
 長距離路線を利用していた人には旨みがさらに減ることになる。
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  例 : 東京~沖縄線を1日1往復で年間50日利用。
区間マイル 984マイル + プレミアムパスのボーナス100% = 1968マイル/搭乗
     1往復(2搭乗)×50日なので、計100搭乗で196800マイル。
     ※ 実際は、さらにプレミアムシートのボーナスもついた。
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  去年販売分なら200回、300回乗れれば乗っただけマイルもついたし、搭乗回数を
  300回と制限されてもマイルが積算されていれば、まだ良かったかもしれない。
  しかし、今年の条件はマイルの積算は一律20万マイルのみ。
  と言うことは、実質103搭乗以上する人は貰えていた部分がなくなり損することになり
  修行僧以外のユーザーにとってもメリットが減ってしまうことになる。  
 
正直、300万円も先に出す訳だから多少出しても良いと思うような条件にしておくべき
  部分もあるのだが、ここまでキツキツにし、修行層排除だけならまだしも一般ユーザーに
  まで魅力半減と感じさせてしまう可能性があるのにプレミアムパスを販売したのには
  驚いた。
  
  やはり顧客満足度より先払いで9億円手にすることができるという部分が魅力なんだろうか。
  申し訳ないが、ここまで企業側の利益ありき的な持ってきかたするならば、最初から
  販売しないほうがムダに顧客満足度低下させることなく良かったような気がするのだが。
  
  
  

ANA 機上生活者と珍妙トラブル

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週刊現代に、こんな記事が掲載された。
内容を要約すると以下の通り。
 ・ANAがプレミアムクラスの導入した際に、300万円で1年間乗り放題のプレミアムパスを販売。
 ・約250人分を販売したが、一部ユーザーはANAが当初想定されたビジネス利用ではなく
  マイルを貯めること目的に利用する人が出てきた
 ・このユーザーらは、朝から晩までひたすら飛行機に乗った(一日で7搭乗程度利用)
マイルの積算率が良いため、一年間で200~300万マイルほど稼ぐ人も。
 ・このうちの一人が搭乗中に目に余る行動を多々引き起こした。また、何度も乗っている
  ので分かっているはずなのに、遅延発生した際に宿泊代請求等無理な要求をした。
  再三注意等をしたが直らないため、ANAはそのユーザーを会員剥奪をした。
  (貯めたマイルも没収)
 ・ これに腹を立てたユーザーは仮処分申請や訴訟準備をしている
というもの。ANAが乗り放題のパッケージを販売し、彼らの想定外でその恩恵を
最大限享受しようと頑張るユーザーが出てきてしまった点は、ANAの考えの甘さ
なのだが、購入者は定められたサービスを最大限受けるだけに勤めていれば良かった
ものの、300万円と高額な費用を払ったことで殿様的視点になったようで、傍若無人な
行動までするようになった。この傍若無人な対応が問題だったりするのだが
このユーザーは、さも当然と思っているようだ。(故に裁判等の話が出てくる)
人間お得と分かればそれを最大限利用しようとするのは当然。しかし、ルールを逸脱した
行為は論外。お得で人が群がることを狙って施策を打つ企業もある。これも悪くはない。
しかしそれが恒常化するような状況にしてしまうのは良くない。
人間それが続くと慣れてしまい、さも当然と思ってしまう人も出てくる。
ちょうどプレミアムパス販売時は上級会員を促すような施策やマスコミの煽り記事も
あったころなので、恒常化しつつあったころとも言える。
結果として、あの時無駄に加熱しすぎたということだろう。
双方にとって痛い犠牲かもしれないが、ANAや他のマイラーにとっては良い教訓に
なったのではないかと思う・・・・。まぁ、騒ぎを起こしたユーザーは自業自得なので
無駄に争わず素直に自分の非を恥じてあきらめたほうが良いかと・・・・。