※ 自分のためも含めせっかくなので、講演会に参加したレポートも
今後アップしていくことにした。
日程: 7/3
【主催】: アジアITビジネス研究会
【テーマ】: 中国のアニメファン事情とオタクビジネスの可能性
【講演者】: 株式会社ウォーターオリオン 代表取締役 福島央俐音氏
ブログ「日中文化交流」/オタ活動主宰 百元籠羊氏
オフィス春堂 代表 柿崎俊道氏
【アジェンダ】:
・中国の日本アニメファン事情(日本アニメに対する感情、性別・世代ごとの嗜好性
消費スタイル、海賊版への意識の移り変わりなど)
・北京で開催された声優イベントの模様(写真、映像を交えて)
・中国の日本アニメファンをターゲットとする今後のビジネスの可能性
【内容】
■中国の日本アニメファンをターゲットとする今後のビジネスの可能性(福島氏)
・中国でビジネスする上での解決すべきポイント
1、版権問題。
企画・ユーザー双方の著作権への意識が低く、承諾無く映像放映・紙掲載
参加者がイベントを録音することの懸念を挙げた
2、声優業界の現状と中国側のやりとりでの曖昧さの調整
・番組改編時期では、キャスト全員が参加できる収録日を決めため複数の日程が
キープされてしまう。また、プロダクション所属する声優さんはプロダクションの営業
活動により、本人の知らぬ間に日程キープ等されているケースもあるため、漠然と
した日程では、抑えることが厳しい。
・声優さんのギャラも高騰傾向。都内で人気声優がイベントする際のギャラは2ケタ台。
海外ともなれば、その分だけ増加する。一方で、中国側の収入レベルを見れば
この金額は高い部類になるため、本当に出せるのか?という問題もある。
(当然、声優さんのスケジュール抑えてしまってからキャンセルはプロダクション側も
嫌がるので、この辺は先にギャラを徴収し、プロダクション側にも全額支払いを提示
するなどしっかりとした対応が必要)
・中国側とのやりとりの中で、当初依頼があったときと話が変わることが多い。
日程や会場変更・収容人数の変更、声優への依頼事項、通訳者問題、先のギャラ
についても。
→ すべて、十分な話し合いが必要かつ相手に理解してもらうこと重要。
・ビジネスの可能性
・現地吹き替え版より原版(日本版)で視聴したがるユーザーが多く、そのために
日本語を学ぶものや、声優にあこがれて日本の声優学校にくるユーザーも。
受講者数は15名あたり1名の割合。
・声優に憧れる人は多いので、以下のような点がビジネスとして成り立つと発言
1、声優体験
2、声優のトークイベント
3、現地向けのオリジナルコンテンツに声優のボイスをつけ配信
・あと、BLモノはあちらでも大人気
■中国の日本アニメファン事情(百元氏)
1、アニメ・漫画ファンの日本に対する感情
・日本発のコンテンツは大好き。
・日本の文化、日本語を学ぶことに関心があり、きっかけは漫画・アニメになっている
・90年代の愛国主義教育で反日感情を強く持つため日本に対する理屈ではなく
感情的なものを持っているものの、日本の国・人と日本のコンテンツを区別して
考えることができる。(だから日本のアニメを求める)
2、中国における日本のアニメ・漫画ファンの世代別傾向
・80年代以前、80年代前半、後半そして90年代以降とおおきく4つの世代に大別。
・この中でも80年代前半・後半の世代が一番熱心とされている。
・背景には、、一番娯楽に飢えていた世代であり、テレビに加え海賊版・P2Pに
接しやすい時にいたこと。なお、90年代層は好きだけど娯楽が80年代よりも
増えたため、一番好きまでいかない。
3、男女別のファンの傾向
・男性は広く浅く情報を求め、新しいものを欲しがる。そのため日本サイトもWatchする。
・女性は狭く深く。特定コンテンツ・ジャンルに長くハマり、グッズなども積極的と日本の
ヲタクに近い。グッズを揃えることもあり、海賊盤にも比較的手を出す
・創作活動は男性よりの女性ユーザーが多い(過去、広州でイベント時のアンケートでは
80%が女性だったらしい)
4、中国での日本アニメ・漫画ファンが抱く中国国産アニメに対する思い
・中国の国産コンテンツは基本的に子供向けと捉えており、もろ足りなさを感じている
背景には、中国政府のねらい(役に立つもの)とユーザーのニーズ(面白いもの)
にギャップがある。
・日本作品に馴染んだ人の中には、中国国産コンテンツを(子供向けということで)軽蔑
している人もいる。これは彼らが接してきた漫画・アニメなどのオタク文化を自分たち
のカルチャーとして考えており、子供向け作品も一括りされてしまうことに拒否感を
もっている
5、海賊盤への意識
・全般的に、あって当然、使って当然という意識があるが、昔に比べれば変化が出てきた
・ネット普及で日本との交流も増え、日本のファンの海賊盤に対する認識(海賊盤を見る
人はファンとは呼ばないという意識)に困惑。また創作活動が広まり、海賊盤によって
作者に与える影響を実感するケースも増加。(過去に中国で作品発表したら、即座に
流れ、それを見た作者が絶縁宣言したことがあり、現地ファンは困ってしまった)
・また彼らのファン・オタクに対するステータスとして他人との差別化としてオリジナル
コンテンツ(日本版)を入手する傾向も出てきた。
6、質疑応答で出た追加コメント
・中国のファンがコンテンツに掛ける金額は、大学生の小遣いを考えると月100~200元
イベントでは500~600元使うケースもある。ちなみに、グッツでは100元以下は割安
と感じ、400元以上は大きな買い物と感じる
・反日感情を持っていることを踏まえ気をつけるべきこととして、中国の文化をテーマに
した作品は中国側からイベントで出さないよう要請されるケースもあり避けるべき。
過去には光栄・G-modeが三国志の商標等で抗議活動に発展したケースも
(特にG-modeは酷かったらしい)
・中国における、アニメ好きの人へ対する他人が抱くイメージは、そもそも若い人の共通
カルチャーとなっており、本人自ら公言するほどで、日本のような変なイメージは無し
・日本と中国のオタクの定義(知識レベルなど)は、日本が作品へのこだわりなどを重きに
置くが中国では業界の最新情報の量を多くもっていることがヲタクとされている
この定義では日本と中国に差がある
・女性声優の海外での需要について、台湾を例に挙げ女性かつ歌が歌えることを
求める傾向がある。一方アイドル声優については、海外にその情報が流れにくい
らしく。人気度が読みにくいとのこと。
・中国で始まったフィルタリングによるアニメなどへの影響については、エロモノは規制
対象になる。しかし、これよりもバイオレンスモノ(ウルトラマン・ワンピースなど)や
ホラーなどのグロ系りの方がもっと深刻。ちなみに、BLについては、日本では女性
ものとして比較的審査が甘く、キワドイ作品が多いが中国では人気が出ているが
今回の対象からは除外されている。しかし、この人気度合いによっては規制対象
となることも。
・著作権に対する意識は、男女によって若干異なる。男性は意識が高まっているが
女性についてはリアルのグループ内でのやりとりが多いらしく、また深く狭く求める
ことももあって、作品の質より舐める(ある作品をすべて網羅する)方に重きを置くため